物件探しのリアル

「建売住宅はトラブルが多い」という話は古めのガセネタ説

「建売住宅はトラブルが多い」という話は古めのガセネタ説

こんにちは、都築です。

今日は戸建住宅をご希望のお客様とお話をする機会がありまして、ご要望を聞いていたところ、注文住宅がいいというご要望をいただきました。

ただ、その理由が建売住宅は適当に作られていて安かろう悪かろうでトラブルが多いから絶対に嫌だということだったので、僭越ながらそんなことはないということをご説明させていただきました。こうした認識は本当に消費者の間で出回っているし、いい機会なので、今回、記事にさせていただきます。

「注文住宅は値段が高くても、安い建売住宅よりもトラブルが少ない」という話は、昔のことは判然としませんが、近年ではむしろ建売りの方がトラブルが少ないことが窺えます。

安全な建売住宅
見た目だけでないのですよ

「建売り住宅=トラブルが多い」はイメージ?

先ほどのお客様がお持ちだったような誤解が生まれた背景は、主に以下のとおりだと思います。

  1. 注文住宅の方が値段が高く、建売は安かろう悪かろうというイメージがある
  2. 注文住宅は施主が設計会社や施工会社とコミュニケーションをとる機会があるため安心。
  3. 注文住宅業者が1と2を利用して自社に有利な情報を吹聴したり、マスコミがネタにしてきたため

いまご覧いただいてる家リアは、住宅用地の販売と戸建住宅の分譲事業をしているエムトラスト株式会社と、同社を売主とする物件も仲介しているモリモト・トラスト株式会社が運営しています。このため、そもそもポジショントークで信じられない、認めたくないという人もいるでしょう。そういう人にとってはこれから都合の悪い事実をお話ししますので、見ない方がいいかもしれません。

また、今回の話は多くの人の思い込みを否定するものであることに加え、同業者から不興を買うおそれのある内容なので、誰でも確認できる公表されている事実をもって話をしますね。

「住宅品質確保法」に基づく公表された統計を見ると・・・!

日本では2000年に「住宅品質確保法」という法律が施行されました。これは、

a.住宅の性能評価を第三者機関が行い表示させること
b.新築住宅で欠陥などが見つかった場合10年間の間はこれを無償で保証せねばならないこと
c.買主は、売主とトラブルになった場合は「指定住宅紛争処理機関」に紛争処理を依頼できること

を主に定めるものです。

このうち、c.にある指定住宅分処理機関である公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターは、紛争処理件数の統計結果を公表していますので、グラフにまとめました。

公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅相談統計年報」、国土交通省「住宅着工統計調査」より作成

えー・・・はい。なんと、明らかに注文住宅の方が紛争処理件数が多いですねw

統計を分析することに慣れていらっしゃる方は「件数の問題ではなく、注文住宅の方が戸数が多いから紛争も多いんじゃないか?確率的にはどうなんだ?」と思うかもしれませんので、国土交通省が公表している住宅着工件数の統計資料を基に、分譲住宅の着工件数に対する注文住宅の着工件数が占める比率もならべておきました。注文住宅の方が分譲住宅の2倍程度着工している一方で、紛争処理件数は注文住宅は戸建ての4.5倍あり、トラブルの件数としては増加しています。

うーん・・・紛争にいたった件数も確率も注文住宅の方が高いようです。

「実は注文住宅の方がトラブルが多い」とは断言できないけど・・・

ただし、僕は炎上が怖い正直なので、このグラフを作るにあたって読み取れなかったことも書きますね。上記の紛争処理件数は、新築工事とリフォーム工事の内訳を確認することはできませんでした。また、既存の建物の戸数は注文住宅と分譲住宅がそれぞれ何戸ずつなのかは把握できませんでした。というわけで、分譲住宅の方が実は安全!とも、注文住宅の方がトラブルに遭いやすくて危険!とも書ききれませんでした。

ただし、紛争は新築とリフォームとで分けて公表されていませんが、以下のとおり、同センターに寄せられる「電話相談」の件数をみると新築はリフォームの2倍程度の数ですし、「専門家相談件数」も全体的に新築の方が多いので、紛争処理件数も新築に係るものの方が多いのではないのかと推察することはできますね。そうなると注文住宅の方が新築でもトラブルが多いのではないかと考えるのが自然ではないでしょうか。

公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅相談統計年報」より作成
公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅相談統計年報」より作成

少なくとも「建売住宅の方がトラブルが多い!」とは言えなくなっている

というわけで、巷で言われている「建売住宅の方が危ない!」とはいえませんね。それなのに、不動産業や建設業者、設計業者などでそう言ってしまっている人は悪意があるかあまり業界を勉強していないかだと思われるため、まあちょっとアレですね。

注文住宅の方がカスタマイズが効き、自分しか持たない価値観を反映させることができ、建築費用が高いことは事実です。また、家に反映させた拘りが特有過ぎた場合は売却しにくく値段を下げねばならなくなることもあるため、買うときも売るときも経済的ではない贅沢品であるといえますね。

ただし、贅沢品ではないからという理由で建売住宅が安全ではないという根拠にはなりません。例えば、「海外の高級スポーツカーに比べて国内メーカーのファミリーカーの方が安いから危ない」と聞くとみなさん違和感覚えますよね。それと同じで、建売を選ぶにしてもどうか安心していただければと思います。

お気軽に家リアにご相談を!

もし、建売と注文住宅で迷っていて実際のところはどうなのか聞きたい、すでに世話になっている不動産屋がいるけどセカンドオピニオンも聞きたいという人は、こちらまでご連絡ください。

このサイトは建売住宅の販売をしているエムトラスト株式会社が提供していますが、物件に関するご相談はエムトラストとは特に資本関係もない、記事の監修を務める不動産仲介会社モリモト・トラスト株式会社が承ります。こういう時代ですので評判は大切にしていますし、なにより扱う物件はエムトラストのもの以外もたくさんありますので、正直にお答えいたします。

それでは、Enjoy 家選び!

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