実は勝負にもならない「持家VS賃貸」

こんにちは!都築です!

不動産業やっていると公私でいろんな相談を受けます。その中でもっともいただきたくない相談が、持家と賃貸はどっちがいいの?という相談です。

なんで嫌だか解りますか?本当のことをいうと、友達を無くしかねないからです。とはいえ、家リアは不動産屋としての本音をお伝えするメディアです。読んでくださっている皆さんの期待に応え、本音で結論を言いますね。

 

結論:賃貸より、持ち家の方がいいです。持てるのであれば。

まあ、僕らのプロフィールをみるとポジショントークだと思われてそっ閉じされても仕方がないのですが、家リアは本音で話すことを存在意義としていますので、「どんなこと言いよるのかなw」くらいのノリで見ていっていただけますと嬉しいです。

なぜか並列で扱われる「持ち家と賃貸」

独断と偏見ですが各種ポータルサイトや雑誌はいろんなところの顔を立てなきゃいけないからか、幅広い読者と彼らに向けた広告収入が欲しいからか、背景はちょっとよく解らないんですが、なんでか持家と賃貸を並列に扱っています。

自分の資産のためにお金を払うのと他人の資産のためにお金を払うのはどっちがいいですか?という話なので、本来答えは明らかなんですよ。わざわざ買わない理由を探しちゃう人はいますけどねwまた、後からお話しますと、賃貸で得られるものは「手軽さ」であり「経済的合理性」ではないです。

でも、ローンを負うことは事実ですし、不安を抱えるのは人情というものです。そこで、今回はよくあるご不安や誤解について、不動産屋として考えていることをお伝えいたします。

賃貸派のご意見その1:先が見えない世の中でローンを組むのは怖い!

この話は、とにかく何が起こるかわからないから嫌というちょっと思考停止気味なゼロリスク志向のみなさんか、そこまでいかずとも複数のリスクを混同してしまい、感情に流されたり面倒になってそれぞれのリスクを個別に考えない人がよく主張する印象があります。

収入がなくなるときがあるかもしれない

そういうときもあるかもしれませんが、賃貸でも家賃が払えなくなりますね。また、返済が進んだときにそういう憂き目に遭えば自宅を売却して手元資金を積み増すことができますし、持家を担保にお金も借りられる点で資金調達の方法が多様になります。でも、賃貸はどんなときでも選択肢がないですよ?普通はローン返済より割高だから貯金しにくいし。

普通に考えて、自宅は資産です。

ローンの支払いが厳しいかもしれないし、ローンが払えなくなるかもしれない

まず、家賃を払っている時点で大家さんの借入をあなたが返済しているようなものなんですがw、無謀なローンを組むリスクや物件選びを誤るリスクと、自宅を取得すること固有のリスクはそもそも別物です。

家選びのうえで予算とローン返済額を決めることは最初にすべきプロセスであり、最も保守的に行うのが普通なものです。バブル期などと違って、最近はみんな都合のいい収入の推移を前提としたり、返済プランに厳しい賞与払いを見込むなどの無理な設定や、身の丈に合わない地域に住むことに固執するなどしませんので、ほとんどの人は無難にこなしています。

住宅ローンが返済できなくなる系の話のリアル」でも詳しく触れていますが、固定金利の住宅ローン「フラット35」を組成している住宅金融支援機構の公表資料によると、返済が3ヶ月以上滞納したり破綻したのはここ10年で1.4%~3.8%です。面白いのは、10年前より以前ですがリーマンショックのあった2009年でも3.8%、その翌年も3.7%に止まっていることです。ここ3年では1.5%前後です。破綻債権の比率に至ってはコロナ禍まっただなかの2020年度ですら0.27%です。

身の丈に合った物件を適切な条件でローンを組んで買っている人がほとんどなので、経済動乱が起こっても急増したりはしていません。返済できなくなってしまったごく一部の人の例を住宅ローンホラーのように報道してあたかも一般的でなあるように恐怖心を煽ったりしていますが、現実はこんなもんです。

普通に考えて、誰だって家を買うことは目的ではなく、買った家で質の高い生活を送るのが本来の目的なのですから、返済に苦しくなるようなプランは立てませんよね。なので、こうしたリスクは低減されていくことが多いです。

無理な予算を組んだりしなければ安全性はぐっと上がります

離婚などで広い自宅が要らなくなるかもしれない

そのときは家を売ればいいのですよ。売却してもローンの残高が残ってしまうリスクは、先にお話しした物件選びとローンの条件を誤るリスクを減らせば低減できます。もちろん、買ったばかりで離婚したら返済が進んでいませんので債務が残るかもしれませんが。ですが、根本からの質問ですが、そんなに離婚しますかね?

よく「日本は3組に1組が離婚する時代になった」的な論調を耳にすることがありますが。あれ多くの人にミスリード起こしているんですよ。人口動態統計をみるとすぐに判るんですが、あれは正確には「1年間の離婚件数が婚姻件数の1/3」です。つまり、割り算の分子は1年間の全ての離婚組数ですが、分母は1年間の新婚組数です。わかりますか?分子の離婚件数の大半は1年以上前に結婚した夫婦なのに、分母は1年間の新婚さんだけなんですよ!対比としておかしいでしょ。

あと、これは明確なデータがないから主観の話にとどめていただきたい不動産屋としての感覚なんですが、賃貸より持ち家の方が離婚しないような感じはします。「子はかすがい」ではありませんが、「賃貸だから離婚しても大した問題がない」とか「離婚しても大丈夫なように賃貸にしてある」と、どこか離婚に備えてあるから安心して踏み切れるというマインドが働いているような気はしますね。

収入の稼ぎ手が亡くなったり、ケガや病気でお金を稼げなくなるかもしれない

住宅ローンを組むと、多くの場合団信(団体信用生命保険)という保険に入るため、そういう悲惨な事態になった場合、ローンの残りはその保険金で支払われます。自身の健康が自分のためだけのものではない人にとって、この安心感は代えがたいものがあります。

家族のためにも団信とローンで持家がお得

逆に、賃貸だったらどうなるでしょうか。収入の稼ぎ手に何かあっても、基本的に何ら手当されません。団信と同様の保障が受けられる保険商品もあるのでしょうが、まあまあお高いと思います。やたらと慎重にあれやこれや考えている人に身も蓋もないことを言ってしまうと、ある程度の確率で誰にでも起こりえてその被害が大きい事態は、制度的にカバーされていることが多いものですよ。

賃貸派のご意見その2:賃貸の方が合理的!

自分のライフステージにあう物件を借り続けるのが効率的だというお話ですね。すなわち、結婚・出産と家族が増えるときは広い間取りの家を借りて、お子さんの独り立ちと自身とパートナーの加齢に備えて今度は管理可能なこぢんまりとした物件を借りればいいと。

賃貸とローン返済の費用で比較すると、ローン返済の方が安い。

まず、同じ地域の同等の物件を借りるのと購入してローン返済するのとでは、ローンの返済の方がほとんどの場合安いです。これは費用構造上・産業構造上仕方ないことです。このため、賃貸生活は全体的に割高です(主に大家と不動産業者と銀行の利益のために)。

賃貸は、高齢になると借りづらくなる。

若いうちはいいかもしれませんが、高齢者になった後はトラブルも起こりやすく、自分でお金を稼げなくなるため、高齢者に対して物件を貸してくれなくなります。不動産業では知名度の高い太田垣章子さんの著書『老後に住める家がない!』でも触れられていますが、収入や資産の多さに関係なく貸してくれなくなることは普通です。現役時代と同等の条件や姿勢で貸してくれると思っている人は、ちょっと考えなおした方がいいです。

運よく貸してくれるところがあったとしても、貸主側からみたらいつ亡くなったりして事故物件になるか判らない借主に貸すのはリスクですから賃料を高く設定されたり高額な保証会社や保険への加入を求めることもあります。貸主にしたらあなたがどのくらい家を狭くしたかといった経緯や都合は関係がないのです。このため、あなたが思っていたより住居費が抑えられないという事態になります。

地方に移り住めば安くはなりますが、歳をとってから地方への移住はあまりお勧めできません。単純にハードだし、いま日本が直面している人口減少の影響は地方から出てきます。老人ホームやサービス付き高齢者住宅などなら入れますが、経済的合理性なんてどっかいってしまうほどのお高さです。

賃貸の場合、修繕費は常に上乗せ状態

賃貸なら賃借人に過失がなければ自宅を大家が修繕してくれるという方もいます。そうですね。ぱっと見、修理代を負担せずに済んでいます。が、これは家を貸せば解るんですが、修繕は一定確率で発生することを踏まえて家賃や共益費を設定します。

修繕が発生しようとしまいと修繕費を払い続けているようなものなんですよ。同じ理屈は固定資産税、銀行に払う金利や手数料(しかも不動産投資ローンのコストは住宅ローンの何倍も高い)、保険料などにも言えることで、持家にかかる費用は漏れなく賃料に乗せられています。

賃貸は転職に備えられる。でも、転職ってそんなにしますか?

他にも、転職に備えて住居を移せる方がいいというお話も聞きます。でも、転職ってそんなに頻繁にしますか?したとして、住居を変えてまで仕事を選ぶことってありますか?例えば城東に住み勤務先もその地域の人の勤務先が城西に変わったら、同じ城西に住んだ方がそりゃ近いですよ?でも20分や30分に過ぎない通勤時間の短縮のために引越費用と転居リスクを負うのって、もはや効率性とは真逆のアクションですよね。というかそもそも時間がもったいないというのなら、その時間に勉強すれば無駄にもならないし、本を読んだりネットや動画を見ても楽しめます。もったいなくするかどうかは、自分次第です。

実は勝負にもならない「持ち家VS賃貸」

よく聞く話としてはこんなもんです。ご理解いただけましたか?家を持つことで起こり得るトラブルは、週刊誌などの記事で物語調で具体的に描かれて(対処可能であってもそこは描かれないこともある)いて誰もが不安を煽られる内容である一方で、その発生可能性を正しくかつ具体的にイメージできる人は少ないことが多いです。交通事故という悲劇が起こり得るから車は社会から排除すべきというご意見に同意する人ってまあ珍しいですよね。というわけで、賃貸の合理性は、「お手軽」であるという合理性であり「経済的合理性」ではないと思いますよ。

持家で手に入るのは経済的なメリットと自由、賃貸で手に入るのは手軽さ。目的が違うのだから比較も勝負も成立しません。そこをミスリードさせた人ってひょっとして賃貸生活する人に何らかの忖度をしなきゃいけない誰かですかね?

持家と賃貸の比較に限った話ではなく多くのことでいえる話ですが、手軽に得られるものの価値は得てして大したことがないものです。せっかく家を買う(つまり資産が築ける)ことができる貴重なチャンスを、ふわふわとした漠然とした不安で棒に振るのはもったいないですよね。

チャンスとはいつまでもあるものではありません。どうぞお気軽に不動産屋に聞いてみてください。

お気軽に家リアにご相談を!

もし、店舗までいくのは勇気がいる、しつこく営業されそうというなら、このサイトの「お問合せ」からご連絡ください。絶対しつこい営業はしませんし、なんでもお答えしますよ。

それでは、引き続きEnjoy 家探し!

▼関連記事
不動産屋の考える自由
損しない持家の買い時とは
「お金がないと持家は無理」という思い込み

  

タグ一覧

  • #田中様へのご案内
  • #不動産屋の事情
  • #不動産屋の裏情報
  • #水曜日の不動産
  • #激おこ
  • #ライフハック
  • #持家VS賃貸
  • #みんな大好きお得情報
  • #怒られ覚悟

持ち家のリアル

みなさんの「持家ってどうなの?」というゆるふわな疑問に対して、不動産屋が現実をつきつける大人げない感じで情報をお届けします。

物件探しのリアル

家を持つことを決めた皆さんに対して、不動産屋が家探しに役立つ情報や知っておいてほしい話をお届けします。

業界ニュースのリアル

日々飛び交う不動産関係のニュースを、不動産屋の視点で解説します。事実と推察と願望をちゃんと使い分けます。

不動産屋のリアル

通称「水曜日の不動産」。定休日のノリで(いつも以上に)肩の力をぬいてざっくばらんとお送りします。コラボ企画やインタビューなどもやっていきます。