損しないポータルサイトの使い方
こんにちは、CMをバンバン打っている白いお父さん犬のCMでおなじみのグループにいたことのある都築です。
「すみません、(CMをバンバン打っている巨大マリモのポータルサイト)を見たんですが・・・」
はい、多いですねー。ここから始まるお客様。実際のところ話が早いです。僕たちも助かります。ですが、使い方を微妙に間違っていたり勘違いしているお客様もいて、明らかに損をしている方もおられますので、今日はポータルサイトの活用方法をご案内します。
目次
よくある勘違い
さて日本では、巨大マリモキャラのサイトと、ニヒルな笑顔を浮かべた探偵キャラのサイトが二大ポータルサイトとして知られています。僕たちも大変お世話になっています。
一方で、名前が先に知られて中身を後から知る人がほとんどであるせいか、そこそこ勘違いされているお客様もおられます。今日は、まずそうしたよくある勘違いや思い込みのせいで実は間違った使い方をしている人のためにお送りします。
「ポータルサイトは不動産業者専用のサイト」
ネットが普及したこともあり、昔より一般のお客様もいろいろご存じです。ですが、インターネッツの恐ろしいところは、誤った知識もまた得やすくなってしまっていることにあります。
その一つが「不動産業者専用のサイトがあり、そこに自社で扱っている物件を登録する」という話です。が、この間違いではないものの断片的な情報には誤解が生じています
「不動産業者専用のサイト」は皆さんが見られるポータルサイトではありません!東日本不動産流通機構とや西日本不動産流通機構の運営する「REINS(レインズ)」がそのサイトになります。
こちらは見ることも不動産業者しかできません。と書くと、業者が一般人には言えないようなことをやれるようになるためにオープンになっていないんじゃないかとか思う方もおられるかもしれませんが、不動産に詳しくない一般の人が情報を見てわからないことがあったとき、不動産屋を通さずにその連絡先に直接質問するという状況になるとどうなるでしょうか。不動産屋は一日中電話やメールの対応に追われることになります。プロ同士なら聞かなくてもわかることはたくさんあり、不動産屋に訊けば問い合わせをする必要がなくなるのですよ。
「ポータルサイトにはすべての物件かほとんどの物件が載っている」
これはさっきの不動産業者専用のサイトだからという考えに立脚している人もおられますが、結論として、すべての情報が載っているわけではありません。むしろ載っていない物件情報の方が圧倒的に多いと思います。
詳しくは「不動産屋」というビジネスをご参照いただきたいのですが、売主との媒介契約によってはREINSにその物件情報を登録する義務はありません。ましてやポータルサイトに情報を乗せる義務なんて、売主と特段の約束でもない限りは全く負っていません。理由は後で書きますが、「とりあえず載せておく」くらいのノリではポータルサイトに載せることはしないくらいに、基本は載せません。
「ポータルサイトの物件情報の登録は運営会社が行っている」
これが個人的には一番理不尽さが光る勘違いです!ポータルサイトの物件情報の登録作業は不動産屋がやっています。物件数No.1!っていうのは不動産屋の労働集約No.1!ってことです。
ちょっと前から、物件の動画も見られて便利!っていう触れ込みをしているポータルサイトもありますが、あれだって動画を撮るのも編集するのも、それを載せるのも不動産屋です。ポータルサイトが不動産屋の労働力と金を吸い上げてドヤ顔で自社ブランディングを展開する様を下から見上げていると、ちと複雑な気分だったりします。
「ポータルサイトは広告収入で賄われている」
いやいやいやいやいや!ポータルサイトで物件の広告出すならもちろん広告料を払う必要がありますが、ポータルサイトに物件情報載せるだけで不動産屋は運営会社にまあまあなお金払っていますから!たまに不動産屋に払う手数料が不満なわりに不動産屋のビジネスも世間も知らない人がネットで
「不動産屋なんてポータルサイト見て問い合わせ入れてきた客に対応するだけで原価なんてかかっていないくせに、仲介手数料とるなんておかしい」
とかちょうおもしろいこと言ってくれますが、そういうこと言うなら、
「僕らがポータルサイトにお金まで払って公開している情報をタダ見しておいて、情報吸い上げただけで終わることもあるなんておかしい」
と言いたくなります。
ポータルサイトの利用者が損しがちなミス
さてよくある勘違いはこの辺なんですが、いま僕が書いたなかに皆さんが最初の方にやりがちなミスを防ぐヒントがあります。
- ポータルサイトに乗せる情報は不動産屋が持つ情報の中でごく一部
- 労力を費やしお金を払って情報を載せているため、費用対効果を求める
- このため万人ウケする物件を載せることが多く、お客様それぞれのニーズからズレているのが当たり前。
家を探し始めたころ、みなさんはポータルサイトをずっと見続けます。いや、契約する直前まで見続ける人も少なからずいるようです。なぜかというと、とにかく情報が欲しいからですね。
ポータルで気になる物件情報を見つける
↓
問い合わせる
↓
新しい不動産屋と会う
↓
不動産屋が物件情報を送ってくる
これを繰り返したらどうなるでしょうか。早晩、物件情報が大量に寄せられて処理できなくなります。不動産屋としてもアツいお客様を求めている中で温度感の低いお客様として認識されていい情報が来なくなります。(万一、不動産屋から情報が来なくなっている状態の人は「物件を紹介してもらえなくなってきたときに確認するポイント」をご参考にして危機を脱してください!)
ポータルサイトの使い方
結論は実にシンプルです。ポータルをみてよさげな物件や感じのよさそうな不動産屋を見つけたら希望のエリアの不動産屋を1~2社訪ねてあとは情報を待つ。新たにいい物件をポータルサイトで見つけたら訪問済みの会社に相談する(例外がありますので最後まで読んでください!)。それだけです。
統計がないので感覚値でお話しするとポータルに出ていた物件を実際に買う人って5%くらいな気がします。多くの人は不動産屋が紹介したポータルにあった物件とは違う物件を買います。これはポータルに乗せている物件が本当はないのに客寄せのためにアップした物件(通称「おとり物件」)だからというわけではなく、単純にポータルに乗せていない物件の方が多いということや、来店したお客様により合った物件をご紹介するからです。
とはいえですよ。いい物件がないかはみんな気になりますからポータルサイトを見続けてしまいます。思うに、みんな自分で家を探した実感がほしいんでしょうね。でも合理的な話をすると、見える範囲でのいい物件を探すよりも、いい不動産屋を探した方が結果的にいい物件を探しうるのに、人は感情の動物なので物件情報そのものがあるサイトを見てしまうんでしょうね。
なぜ新規の不動産屋を開拓しすぎない方がいいのか
なぜ「これは良い物件があったぞ!」と思ったらすでに付き合いのある不動産屋にその物件の問い合わせをした方がいいのかというと、
- その物件に対する調査や問い合わせを代わりにやってくれるのであなたが新しい不動産屋にイチから説明する必要がない
- 既存の不動産屋もあなたに対する情報がアップデートできるからより適切な物件を紹介できる
- 既存の不動産屋のなかであなたの優先順位が上がる
個人的には3つ目が大きいと思います。詳しくは「いい家を優先的に紹介されるたった2つの要素」を見ていただきたいのですが、不動産屋が情報を優先的に回すようになります。
ポータルサイトの物件情報だけを求めジョブホッパーならぬ不動産屋ホッパーをしても、どの不動産屋でもまず新規顧客扱いされてそこまで優先されません。実際、そうやってポータルで見つけたもの以外の物件が案内されそうになると音沙汰がなくなるお客様はいます。
「おとり物件」という言葉がネット上で知れ渡っているため「おとり物件に釣られてたまるか、目当ての物件以外は興味ない」というマインドのようです。不動産屋にとって広告費用面でコスパのいい物件を有難がって、不動産屋が探したお客様に合った物件を無視してしまうとか、彼らは何と戦っているんですかね…。(困惑)
迷わず連絡をした方がいいケース
ただし、上記の話には例外があります。それは、大手ではない不動産屋の出している物件への問い合わせは迷わずした方がいいです。統計がないので感覚値の話になりますが、大手ではない仲介会社は広告費のコストパフォーマンスよりも、中小業者の弱点であるお客様の少なさを補うためにとにかくお客様を集めたいという判断をしているケースが少なからずあるためです。
そしてそういう物件に関しては不動産屋は両手仲介(買主も自社で集めて手数料を売主と買主の両方からいただく取引)を目指していて他社から紹介されたお客様よりも直接連絡をくれたお客様を優先的に扱いたがることがあるため、直接連絡を入れた方が有利なのです。
でも、いろんな不動産屋に話を聞きたい人は
とはいえ、1~2店にしぼって家探しをするのはどうにも心細いという人もやっぱりいるでしょう。そういう人はよかったら僕らに相談していただけませんか。
誰もがセカンドオピニオンはほしいでしょうけれども、そのためだけに不動産屋にいくのも面倒ですよね。僕らにご相談いただければしつこい営業はしないし、どんなご質問であっても無料で回答しますよ。
それでは、Enjoy 家探し!
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