知らないと損する!?不動産屋さんからみた住宅ローン審査のあれこれ
「はい、都築です。」
電話で話しながら祈る。両手があいていれば、手を組み空を仰いでいたと思う。ペンを握った右手は少し震えている。
「はい・・・・はい・・・。あ、そうですか!よかったです!!ありがとうございます!!」
うおおおおおお。よかった!これでいける!いやぁ、実は高額物件のお客様の住宅ローンの審査が通ったというご連絡だったんですよ。もう!もう!!これでまず大丈夫です。いぇーあ!!!
と、すみません。取り乱しました。今回は、お客様も我々不動産屋も緊張してしまう住宅ローンの審査について不動産屋が知る限りのお話をしたいと思います。銀行さんがお読みになったらツッコミどころがあるかもしれませんが、そのときはご連絡ください。もれなく名刺交換付きでご挨拶に伺います。
【借入の基本的な種類】
まずお話をするうえで抑えていただきたい自宅の購入に使える融資として覚えていただきたいのは、「フラット35」と「住宅ローン」です。違いはたくさんありますが、最低限、借手としてご認識いただきたいのは以下のとおりです。
・住宅ローン
→銀行などが行う借手の居住取得を目的とした借入れです。
返済期限、金利条件に融通が利きます。
・フラット35
→住宅金融支援機構という独立行政法人が銀行と提携して実行する融資です。
住宅ローンを利用することができない人でも融資が受けられるようにしていることが特徴です。なお、金利は基本的に固定となります。
住宅ローン審査と不動産屋のリアル
住宅ローンの審査に影響が出るものは何があるのでしょうか。先に結論言ってしまうと、主にこんな感じです。
・年収
・物件に対する担保評価
・信用状況
勤務先の安定性、継続勤務期間など他にもいろいろあります。が、大きいものとしてはこんなもんです。
なお、あまり知られていませんが、自分の信用情報は自分で照会することができます。
有名どころでは、CICやJICC、全銀協で皆さんの信用情報は管理されています。住宅ローンの審査はこういうところを見て、いまいくら借入があるのか、返済状態(遅延がいつ発生したのか、事故がいつおこったのか)を確認しています。クレジットカードや借入の返済が返済期日から一定期間(2か月間だったかな?)延滞すると「異動情報」が表示されます。そう。いわゆるブラックリスト入りというヤツです。
この異動情報があると、まず審査は通りません。
幾度となくローンの審査に落ちているお客様にはご自分の信用情報をみていただいて、異動情報の記載があるとそれが消えるまでは融資を活用しての住宅取得は検討できないことになります。
なお、一度ついた異動情報はCICとJICCは5年間、全銀協は10年間消えません。なお、この期間の算定開始期間は事故を起こした債務が完済してからの期間です。完済しない限りは延々残ります。あくまで僕個人の感想ですが、趣味がギャンブルの方はよく審査に落ちています。理由はお察しくださいw
なので、これまた個人的な対処法ですが、会話の節々にギャンブルの話題が出る方は、こっそり繁忙期(2~3月、8~9月)は対応を後回しにします。クソ忙しいなか対応に時間を割いて、やっと申し込みまで漕ぎつけたと思ったらどうにもならない理由でローン審査に落ちましたとかだと、他のお客様を対応したほうが生産性高いので、そうしています。
え、感じ悪い?すみません、正直者でwお詫びと言っては何ですが、住宅ローンを借りるためのテクニックや情報ついてにお話ししますね。
住宅ローン審査に対する合法的テクニック
さっきお話した住宅ローン審査に影響に与える要素って覚えていますか?
・年収
・物件に対する担保評価
・信用状況
ですね。これにこまごま情報を捕捉しますとこんな感じになります。
- 勤務期間
- 新築/中古
- 団信
- 頭金と預貯金
【勤務期間】
なんとなく察しがつくかもしれませんが、長い方が評価されます。安定した返済が期待できますからね。が、実はフラット35だとここはほぼ問われません。現在の勤務先から給与が支給されていればそれをもとに年収と融資可能額が算出されますので、極端な話1ヶ月の勤務でも大丈夫と言えます。
また、勤務先が変わって勤務期間が短くなっていても職種や業種が同じで年収が上がっている場合、前職から通算してくれる銀行もあります。ここでは具体的には書きませんが、気になる方は気楽にお問い合わせください。
【新築/中古】
新築の方がローンはとおります。これはシンプルに評価がつきやすいんですね。中古/新築、戸建/マンションでマトリクスを描くと、中古の戸建てが一番厳しいです。物件の損傷が把握しにくく、担保評価が付きにくいためです。
住宅ローンが事前相談等もなしに一定期間返済されてこないときなど、銀行は即時返済を求めてきます。それが返済されないと担保に供した物件を銀行が売却してそのお金で返済をうけようとすのですが、担保となる物件に価値がないと返済を受けられないため、評価されない物件はローンがつきにくいのです。
【頭金と預貯金】
ざっくり物件価格の10%~20%用意する人が多いように感じています。頭金を入れると借入額が抑えられるため、返済比率(収入に対する元金と金利の額)がさがるため審査に通りやすくなります。
あと、どうしよう。これは本当に感覚ベースの話なので書いていいのか迷ったのですが、預貯金があるほどその人の信用力があがるのですが、いくらあるなら審査上評価されるのかが定かではなく、もしかしたら定性的な審査(浪費家ではなく貯金ができる堅実さがある人として)なのかな、と思うときはありますね※
※これは本当に何ともいえません。何ともいえませんが不動産屋の感覚としてそのように感じることはあるので書かせていただきます。もし、銀行などの実務に携わる方からのご意見をいただけますと幸いです
【団信】
収入の稼ぎ手に万一のことがあったときに遺族や障がいをもってしまった人がローンの債務から解放されないのでは、銀行の貸し手も家族も不安ですよね。団体信用生命保険(通称「団信」)はそういうときに債務の残高が保険金として支払われて債務に充当される保険です。こちらに入らないと、住宅ローンそのものが組めないケースも普通にあります。なので、重大な持病がある人等は大変不利になります。
一方、フラット35は、団信に入らなくても組むことができます。また、万一に備えたい人は別途保険に入ることもできます(ちと保険料が高くなったりしますが)
最後になりますが、住宅ローンの審査日数は数日時間がかかります。仮審査に3営業日、本審査に5営業日から10営業日といったところですか。必要資料は基本ご自分でそろえますが、その手続きには不動産屋も関与します。ここで書類をだしたのに審査の結果が遅い場合は、不動産屋が手続きを後回しにしていることもあr・・・あ、いけない。もうこんな時間だ。
お気軽に家リアにご相談を!
以上、住宅ローンの一般的なところについて書きましたが、自分はいくらまでローンを安全に組めそうかなど、個別に住宅ローンについて相談したいという人は、こちらまでご連絡ください。住宅ローンアドバイザーもいる仲介会社が皆さんの状況に合わせてご回答します。
それでは、Enjoy家選び!
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