持ち家のリアル

「お金がないと持家は無理」という思い込み

「お金がないと持家は無理」という思い込み

こんにちは、都築です。今日はかつて新卒時代に住んでいた戸越銀座を歩いていました。

いやー、懐かしかった。僕ね、お刺身バイキングとかやっている魚屋さんの裏手を上がったあたりのアパートに住んでいたんですよ。就職氷河期でお金なかったなぁ…。働けどはたらけど楽にならなくてじっと手を見たりしちゃいましたw

あのとき、正直時言うと家を買う選択肢ってありませんでした。理由はただひとつ「そんなお金ない」でした。単純に家を買うのってお金がある人がすることだから、お金ないときは家を買うっていう選択肢がそもそも出てきませんよね。家賃払っていれば生きていけるし、めちゃめちゃ忙しくて家にもそんなに長い時間いないから今はとりあえず寝て起きる場所があればそれでいいかなというものでした。

忙しくてお金もないから家を買うなんて考えられませんでした

でも、人間だから将来のこと考えちゃうんですよね。いつまでもこのままではいたくないし、いるつもりはない。でもいつになったらここから出られるのかはめどが立たない。それを先輩に話したら、お金がないことは家を買わないことの直接的な原因にはならないことを説明してくれました。

今回は当時の僕のように、お金がないから持家なんて絶対無理と思いこんでいる人にお送りしたいと思います。どういうこと?と思われた人はぜひ読んでいってください。

住宅ローンの返済は貯金に近い

先輩の説明は主に以下のとおりでした。

  • 家賃にしてもローンの返済にしてもお金は出ていくが、持ち家は資産が残る
  • 賃貸に住みながらの貯金額は、ローン返済しながら貯金するより貯まらない
  • 住宅ローンの残高は貯金のマイナス残高ではない

「貯金」って、ローン払い終わった後の家なんて価値ないじゃないスかー!

泣いちゃいましたよ、僕ぁ。

いや、いくら何でも住宅ローンの返済が貯金みたいなものっていうのはさすがに盛っていると思いましたね。色々な記事を読んだりいろいろな人から話を聞いていますが、老朽化した家なんて誰も引き取り手がいないから空き家が増えていたりしますしね。むしろ処分費用がかかるとか資産じゃないですよねぇ。

無価値化するという誤解

そんな風に考えている時期が、俺にもありました。(グラップラー顔で)

・・・はい、失礼しました。そうですね、まず建物は戸建だろうがマンションだろうが老朽化して年々価値が低下します。これは現実です。ですが、土地は老朽化しません。

イメージですが東京郊外で家つきの土地を買ったとき、大体2,000万円くらいの建物代(注文住宅でなければもっと安く作れます)込みの売買価格が6,000万円くらいだとすると建物代は大体1/3程度でしょうか。1/3が無価値化(そもそも最近の建物って無価値化しないことも普通にあるんですが)しても残り2/3は老朽化しません。

払った住居費の2/3が残るなら十分じゃないですか?賃貸なら住宅ローンより高い上に何も残りません。

土地 is the Justice!

空き家問題でよくある勘違い

「え、でも処分費用の方がかかるかもしれないじゃん。実際空き家増えているし。」

そうお思いの方もおられますよね。確かにいま空き家が増えています。地方を中心に。空き家問題ってなんで発生するんでしょうか。最もよくあるケースとしては、処分するにも処分費用の方がかかってしまうからというものです。この一文をもって「古い戸建物件は価値がなくなる」と思っている人はまあまあいます。

こういう人はご存じない不動産業界の商慣行が「現況渡し」というものです。現況渡しとは、建物や残置物がそのまま残った状態で引き渡しをする取引です。取得した業者が自己負担で取り壊しやリフォームなどをして再販売します。ちなみにこの現況渡しは特別な取引でもなんでもなく、かなりスタンダートなものです。そう。不動産業者は別に更地になっていないままでも普通に不動産を取得しているんですよ。

それなのに空き家はなぜ売れないのか。答えはシンプルです。その土地に価値がないからです。業者だって慈善事業を営んでいるのではありませんので、現況渡しの取得価格に取壊費用と自社の利益を乗せた額で売れないのであれば買いません。権利関係が多少複雑くらいなら不動産屋が業者が解決に向けて動くことすらあります。

そう。多くの場合の空き家問題の原因の本質は土地に価値がないことなのですよ。だから地方に多い問題なんです。もちろん、権利者と連絡がとれない場合などの例外のようなケースもありますよ?でも、多くの場合はこれですね。一部で空き家を喜んで取得します!と宣伝している業者もいますが、あれは相応の価格でしか買わないし、販売価格も相応の価格でしか売れないんじゃないかと思います。

売れない土地
ニーズのない土地の空き家がキツい・・・。

住宅ローン残高は預金のマイナス残高ではない

えー、みなさんは残高が赤かったり頭に▲やマイナスがついている預金通帳を見たことがありますか?僕はあります。昔、『カイジ』とか『闇金ウシジマくん』とか『ぼく、街金やってます』に出てきそうなギャンブル大好きな人と付き合っていたときにたまたま見えてしまった預金通帳の残高がそうなっていました。

画像はイメージですが、このマイナスがめちゃ積みあがっているヤツでした

最初、貯金ないとか言っていたくせに数百万円の残高があって「なんだ、お金あるんじゃん!」とか思ったら、そうなっていました。口座に残高が無い状態で引落しがかかると不足分をカードローンで借りたものとなり、マイナス残高として積みあがります。今でも覚えていますが、背中がぞわっとしました。腰の辺りからね。

さて、マイナス残高というとこんな感じのものになりますが、住宅ローンの残高があるからといって即ち同じ状態かというとそんなことはないですね。理由はシンプルです。

  • 住宅ローンがあっても貯金は普通にできる
    • 短期間で返済する必要がない
    • 金利が低い
  • 住居費感覚でローンを払っていると自然に返済される

短期間で返済した無くていいということは、資金的な自由さがありますね。住宅ローンの返済期間は30年や35年が多く、最近では50年というものもあります。住宅ローンの返済期限については期限内に返済せねばらない契約上の義務でもありますが、もはやメリットといっていいでしょう。

カードローンなども返済期限は短期ではないものもありますが最大で20%弱という高い金利が設定されるため少しでも早く返済した方が金利の面で合理的でメリットがあります。しかし住宅ローンの金利は1%を割っているものはいまや当たり前にあります。期間いっぱいで借りておいて返済原資で利回りが3%程度の投資信託でも買っておいた方が金利の差額が得られるため合理的です。さらに、住宅ローン以外の借入は住居費とは別に返済せねばなりませんが、住宅ローンは住居費として支払えば返済されていきます。家計に対する負担という面でも明らかにただの借金とは異なりますね。

こうしたことを考えると、たしかに住宅ローンの返済は貯金に等しいように感じますね。

お金がないからこそ家を買うという選択はあり寄りのあり

単に返済義務を負うというだけで住宅ローンを他の借入と同一視することは無理があるということがお判りいただけましたでしょうか。「家って何歳くらいで買った方がいいの?」や「家の買い時ってあるの?」でもお話ししていますが、機会を逃すべきではないし、お金をたくさん稼げるようになってからというのは違いますね。

家を買う理由はQOLを上げることにあります。収入が豊かになってから家を買うというのももちろんいいのですが、それがいつになるのかが見えないのであればいっそ先に買ってしまった方が経済状況が好転することはあるものです。

お金がないのに家を買うなんて怖い、お金が返せなくなったりして破綻するかもしれない、という感覚があるのは解ります。でも、住宅ローンで破綻するケースは身の丈に合わない買い物をしたときに多いというのが、現場で見てきた者としての印象です。「失敗しない家選びの4ステップ」でも言っていますが、最初にきめるべきもので最後まで変更すべきでないものは予算です。

それでもという人は

家リアロゴ

いかがでしたでしょうか。お金がないから持ち家は無理という思い込みは転換する価値があります。買い時はつねに買えるときでかつ欲しいときですが、お金がないときは買えないときではありません。

とはいえ、ほしい物件が身の丈に合っているかどうかすらよくわからない、不動産屋は高い方が手数料になるからと騙されないか不安だという人はこちらから何でもお気軽にお問い合わせください。住宅ローンアドバイザーも擁する僕らから予算額やアドバイスなどをさせていただきます。

それでは、enjoy 家選び!

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