不動産屋のリアル

「賃貸仲介手数料の上限は0.5か月分」の勘違いあるある

「賃貸仲介手数料の上限は0.5か月分」の勘違いあるある

こんにちは!都築です。今日は友人から賃貸仲介のご相談をされました。僕らは売買仲介業なので直接的な協力はできませんでしたが、いくつかアドバイスはしておきました。友人として頼られるのは悪い気はしませんね。

さて、彼の質問にもあったのですが仲介手数料については世間のみなさんが気になるところでもあるようです。そこで、今回はその件について簡単に触れつつ、インターネッツに蔓延っている誤解について解説いたします。

みんなが気になる賃貸仲介手数料

みなさんとっても手数料が気になるらしく、Google検索で「賃貸仲介手数料」と入力するとこんな感じでサジェストされました。

えー…はい、皆さんやはり上限が気になるようですね。仲介手数料は宅地建物取引業法(通称「宅建業法」)でその上限が規定されています。

賃貸仲介の手数料は、1か月分の賃料+消費税が仲介手数料の上限となっています。上限からの減額や負担割合はケースバイケースです。

え?でも「借主からは0.5か月分まで」って判例があるよ?違法じゃね?

1カ月分は取りすぎ 賃貸の仲介手数料、業者に返還命令

朝日新聞

こういう↑見出しの報道のおかげで中身を読まないインターネッツユーザーの皆さんが、思い込みという間違った知識で理論武装して不動産屋に突撃してくることは残念ながらあります。

「1ヶ月分の仲介手数料は違法だ!騙されないぞぉ!」

何事もそうですが、中身を調べもせずにイキると大体は恥をかくものですので、ニュースではなくソースそのものとなる宅地建物取引業法に目を通してみましょうか。

(報酬)
第四十六条
第1項 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。
第2項 宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。

宅地建物取引業法 

なお、国土交通大臣の定めとは、こちらの建設省(今の国土交通省ですね。)告示を指します。

第四 貸借の媒介に関する報酬の額
宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)の合計額は、当該宅地又は建物の借賃(中略)の一月分の一・一倍に相当する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たつて当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の一月分の〇・五五倍に相当する金額以内とする。

建設省告示第1552号第四 

はい、すごく長い引用で恐縮ですが、要はこういうことです。

  • 賃貸仲介手数料の上限は、貸主と借主の両方から合計で1ヶ月分の賃料と消費税までとする。
  • 貸主と借主の一方から受け取ることのできる手数料の上限は、承諾を得てないなら0.5か月分と消費税の額までとする。

というわけで普通に読むと、借主と貸主で1か月分の賃料と消費税の半分ずつが、受け取れる上限ということになりますね。承諾を得ていないならですが。

「じゃあ承諾しなけりゃいいじゃんw」

「ガツンと言えば一発でしょ!楽勝楽勝!」

ですよねー。そう思いますよね。重説(重要事項説明書)読むときに承諾しなければ今のデファクトスタンダードである1か月分賃料の半額で済みますもんね。それでは、実際にそれを主張された場合どうなるかを簡単に寸劇形式でご説明しますね。

不動産屋「それでは、こちらにサインをいただけますでしょうか(契約書取り出す)」

お客様「私、半月分しか出しませんよ。宅建業第46条及び建設省告示第1552号第四の定めを知らないんですか?ぼったくらないでくださーい^^」

不動産屋「そうですか。弊社はこの手数料でお受けしていて、値引きは受けられません。」

お客様「」

「出口はあちらでーす^^」

はい、秒で終わった寸劇でしたがこんな感じです。不動産屋もお客様を選んでいいのですから当然ですね。抑えたいものは抑えたいというお気持ちはわかるんですが、賃貸仲介の皆さんのオーナーから元付として任されるための努力やお客様に適した物件を探したりお客様にかわって交渉をする努力はすごいものがあります。これらはいずれもお客様には見えない努力なので、手数料を高く感じる人もおられると思いますけどね。

リスク承知で賃貸仲介手数料を抑えたい人は

とはいえ、みなさんもいろんな事情がありますよね。そういう人は値引き交渉をするのではなく、格安手数料を売りにしている賃貸仲介さんもいますので、最初からそっちにいった方がいいですね。ただし、超大手はわかりませんが以下のデメリットが発生する恐れがあります。

  • そもそも仲介手数料を出してくれる貸主に限られることがあるから、取扱物件が少なくなります。
  • 一人当たりの手数料が少ないので多くのお客様を相手にせねばならなくなり、一人ひとりのサービス内容が低下する恐れがあります(ひどいと不動産屋が物件を選んだり探すのではなく、物件資料の束を渡されて「この中から気になる物件があったら言ってください」とか言われたりします)。
  • 仲介手数料以外の、規制されていない様々な名目の謎手数料を請求されることがあります。
  • 手数料が無料の「0円仲介」を提供する不動産屋の場合、問い合わせをしても貸主や元付仲介に断られる可能性が普通にありますし、お金をたくさん払ってでも入居者をいれたいという貸主からの手数料狙いで普通なら入居を見送りたいような物件への入居を激推しされることもあります。

まあ、安かろう悪かろうという側面はどうしてもありますよね。ちょっと努力が必要になりますが、「不動産屋がそっと教える賃貸仲介手数料を安くする方法」をご参照いただいて試してみるのもいいかもしれません。

ところでですが、どうしても賃貸じゃなきゃいけませんか?

家リア

ところで、初めて一人暮らしする学生さんとかならともかく、社会人としての基盤ができていて将来のことも考えているのに賃貸仲介手数料を気にするということは、まだ賃貸に住まれるんですか?

というのも、賃貸は手軽さが強みなのであって経済的合理性はありません。また、お金がないから持家は無理という人もそこそこいますが実はお金がないならなおさら持家にする方がいいです。

持家を特に検討することもなく、今までがそうだったからと賃貸をお考えであるとしたら時間を無駄にすることになりもったいないので、一度しっかり持家をご検討した方がよろしいようにも思います。

もし興味を持たれたら、どんなことでもこちらから気軽にご相談してください。絶対しつこい営業はしないし、無料でプロがお答えしますよ。

それではEnjoy 家選び!

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