不動産屋がそっと教える賃貸仲介手数料を安くする方法
こんにちは、都築です!今日も今日とてTwitterで不動産屋に仲介手数料をぼったくられたという人たちのお話を目にしました。
こういうのは主に賃貸仲介でのお話で聞くことが多いですね。皆さんが初めて絡む不動産屋というと僕ら売買仲介ではなく、一人暮らしを始めるときの賃貸仲介ですよね。お金がない若い時に加えて取引金額に占める仲介手数料の比率が低くはないため、減らしたい費用として認識されるのでしょう。
でも、まともに仕事をしているのにお金を取りすぎと言われるのはやっぱり納得いきません。しかもインターネッツで仕入れた誤った知識でそういうことを言われるときもあるのでたまったものではありません。
そこで今回は不動産屋とがもらう手数料についてご説明して、仲介手数料を抑えたいみなさんにお得な情報を提供します!まともな不動産屋に無理な要求をしたり手数料惜しさにヤバいことをせずに済めば幸いです。
目次
まず知っておいてほしいこと
さて、お話する前にいくつか知っておいてほしいことがあります。これを知らないと、そのままの意味でお話になりませんw
賃貸仲介手数料
賃貸仲介業は、賃貸契約が成立すると賃料の1ヶ月分+消費税を上限として仲介手数料を受領します。この上限は宅建業法で定められています。ここでいくつかのポイントがあります。
1.宅建業法で定められている賃貸仲介手数料は上限。
→賃貸仲介手数料は賃料1ヶ月分+消費税を超える額はいただけませんが、減らすことは自由です。
2.賃貸仲介手数料の上限額は当事者からもらえる合計額。
→賃貸仲介手数料は借主からだけではなく貸主からも受け取れます。どちらがいくら負担するかは事前承諾を得れば自由です。
元付け業者/客付け業者
貸主から物件を任されている不動産屋を元付け業者といいます。借主に部屋探しを任されている(逆に言うと元付に借主を紹介する)不動産屋を客付け業者といいます。
元付けと客付けが異なる不動産屋の場合、仲介手数料を客付けと元付けで分けます。なお、仲介手数料をいくらで分けるかは「マイソク」とよばれる皆さんも見られるときもある物件資料に書いてあることが多いです。
AD
宅建業法で上限を定めている手数料は仲介手数料です。仲介手数料以外に受けとる収益は、宅建業法が規制していないものがたくさんあります。なかでも、成約にも大きな影響をあたえるのがAD(「エーディー」と読みます。)です。
これは何かというと、広告(Advertisement)の略です。借主を集めるための広告費の名目で元付業者が貸主からもらうものですが、実際に広告を打つかどうかはケースバイケースです。また、ADをもらっても広告費が余ったからという理由で返金することはありません。つまり実態としては仲介手数料とは別に不動産屋に支払うマージンです。
仲介手数料を交渉する方法
さて、ここで聡明な皆さんは気づくべきことがあります。それは、ADが払われている物件って仲介手数料を安くしてもらえるのでは?ということです。
値引きを狙うべき不動産屋
貸主はそもそもなんでADを払うんですかね。それはひとえに物件を空室にしておきたくないからです。不動産はもっているだけで銀行への金利支払や元本の返済、固定資産税や管理費などの支払いが発生します。このため、賃料が入らないと費用だけ発生してしまうため、仲介手数料とは別にお金を払ってでも他の物件より優先して借主をつけてほしいんですね。
元付け業者の気持ちも考えましょう。元付け業者にとって貸主は関係を良好に保たねばならない相手です。物件を任されているというのは、仲介だけをまかされているわけではありません。テナントからの問い合わせ対応や契約の更新などの事務業務も任されていることが多く、いわば安定収益の相手先でもあります。客付けに手数料を100%渡したとしても、管理料やADをもらえているのだから値引きできる余地があります。
一方で、元付業者はそんな貸主からの圧力にさらされているといえます。お金を受け取っている以上、高い管理パフォーマンスを出さねばなりませんが、このため空室率は極力抑えていかねばなりません。仲介手数料を多少値引きしてでも!そう。仲介手数料を安くしたいみなさんは元付業者に行けば可能性が高まります。
賃貸物件に足を運ぶと、入居者募集の案内やマンションなら物件の管理会社の案内が貼ってあることが多いのですが、そこが元付である可能性が高いです。お金を浮かせたいなら自分の足と手を動かすのは当然ですね。ちなみに、その物件に空室があるかどうかの確認方法は外から窓を見てカーテンがないと空室となっている可能性が高いです。諸般の事情から満室に見せたいために空室でもカーテンをつけている場合もありますg…ゲフンゲフン
値引きを狙うべき貸主
一言で貸主といっても色んな人や会社がいます。誰が手数料の値引きに対して柔軟になるかは、どれだけ借主を早く入れなくてはならない状態にあるかによります。でもそんなの普通わかりませんよねwそこで属性について考えてみましょう。
貸主の分類は色々ありますが、解りやすいのは収益不動産の販売業者です。収益不動産とは不動産投資家向けに販売することを目的とした物件です。彼らは取扱物件を満室にした状態の方が高値で投資家に販売しやすくなります。
一方で、多くの業者は融資を引いて物件を取得・建設していますので、少しでも早く販売する必要があります。このためADを元付業者に渡していることが多いです。ADも渡しているのですから早く客付けしてくださいねという圧力が元付業者にかかっています。このため仲介手数料を多少まけてでも元付業者は借主を探します。
逆に狙いにくい貸主は、融資なども受けていない個人のオーナーです。会社組織ではないため空室があることを誰から詰められることもなく余裕があるためADをそもそも支払っていないことも多いです。その状態で仲介手数料の値引きをするということは不動産屋が損をすることになりますし、費用負担をオーナーに求めると不興を買う恐れがあるためできません。
値引きを狙うべき物件
「狙うべき貸主」でもふれましたが、収益不動産を取り扱う業者が手掛けている新築アパートや新築マンションはまず筆頭候補に挙がりますね。
あと借主の多くが敬遠するような物件です。こちらは通常の手数料だけでは借主がつきにくいためADを渡しています。
え、そんな物件住みたくない?基本的に何事も需要と供給ですよw
冗談はさておき、世間の皆さんが敬遠するような物件であっても、あなたにとっても敬遠したい物件とは限りません。例えば駅から遠い物件は普通は嫌がられますが、ウォーキングを兼ねて駅まで歩くことを厭わない人にとっては話が違ってきます。マンションの1階はセキュリティ面でのリスクが上がりますが、専用庭がほしい人にはおいしいです。築年が古い物件でもリノベが効いていたら外観に拘らない人には魅力的です。
止めた方がいいNG行為
ここまでお話しすると、みなさんいくつかの考えが頭をよぎるんですよね。でも、正直やめておいた方がいいです。
どの不動産屋でもいいから物件を案内してもらって、そのあと元付業者に連絡すればいい。
元付け業者は客付け業者が案内をする際に受けた問合せ履歴を残しています。これはオーナーへの報告にあたり必要になるからです。案内をさせた後に皆さんが足を運んでも客付けで問い合わせをしてきた人だと判ると、それだけでオーナーは断ります。理由は、金や条件にうるさい、そのうえモラルがないクレーマー気質の人だと判断されるからです。
さらにマズいとその元付業者の中でNG客として登録されます。これは、シンプルに自社が客付けとして案内をした場合も、情報だけもって他の不動産屋に行く可能性があるためまともに相手をすべきでない客として社内共有されるんですね。最悪、当初案内させた客付け業者の方にもクレームの形で情報共有されることすらあります。
他の不動産屋で案内してもらった物件を、格安仲介手数料の不動産屋で契約すればいい。
格安仲介手数料の不動産屋とは、たまにネットなどにいる仲介手数料無料や格安を謳う不動産屋です。ぱっと見お得に見えますが、結論としてまともな物件に入れないだけでなく、ひどい物件に押し込まれるリスクがあります。
まず恐ろしいのは彼らは評判に関しては頓着がなく、安かろう悪かろうというマインドでいることが見受けられます。不動産屋に限らず低価格のサービスはやることとやらないことを明確に線引きするものです。収益が少ない中で利益を出そうとするのですから当然ですね。
自分たちで物件情報を揃えることも、内見などの案内をすることも、貸主との関係作りもせずに、お客様の持ってきたマイソクを見て貸主や元付に連絡して契約する不動産屋です。貸主や元付業者に断られたらそれ以上のことはしませんし、案内をしても入居者を得るのが特に困難な物件に入居させてオーナーから手数料をもらって収入とすることもありますし、おまけに色々な名目の手数料を要求するケースもあります。借主からの手数料がなくてもやっていけるのはこのためです。
当初足を運んだ不動産屋にタダ働きをさせた挙句に情報を盗むあたり、個人的には人としてどうかとは思いますが、どうしてもお金がなくて彼らを頼らざるを得ない人もいるでしょう。ただしトラブルがあっても関与しないかオーナーの味方をされますし、普通の不動産屋のNG客入りしたら実質サービス提供されなくなるかもしれません。
合理的なはずの皆さんなのに賃貸なんですか??
えー・・・この記事から僕らの領域である家を買うためのご相談をいただくのは超難しそうですwでも、賃貸の仲介手数料を抑えたいみなさんって合理性を求めているように思うのですが、そもそも賃貸は手軽さが武器なのであって割高だし持家と比較してもリスクはそれほど低くないので経済的合理性はありません。また、お金がないから持家は無理という人もそこそこいますが、お金がないからこそ持家にする方がいいです。
もし興味を持たれたら、どんなことでもこちらから気軽にご相談してください。絶対しつこい営業はしないし、無料でプロがお答えしますよ。
それではEnjoy 家選び!
関連記事
タグ一覧
持ち家のリアル
みなさんの「持家ってどうなの?」というゆるふわな疑問に対して、不動産屋が現実をつきつける大人げない感じで情報をお届けします。
物件探しのリアル
家を持つことを決めた皆さんに対して、不動産屋が家探しに役立つ情報や知っておいてほしい話をお届けします。
業界ニュースのリアル
日々飛び交う不動産関係のニュースを、不動産屋の視点で解説します。事実と推察と願望をちゃんと使い分けます。
不動産屋のリアル
通称「水曜日の不動産」。定休日のノリで(いつも以上に)肩の力をぬいてざっくばらんとお送りします。コラボ企画やインタビューなどもやっていきます。