ジェフリー・フェファー著『出世 7つの法則』を読んでみた。
こんにちは、都築です。いつも仕事の話ばかりではお付き合いいただいているみなさんも飽きるのではと思い、今日はどんな本を読んだのか、不動産業者としてどう思ったのかをご紹介したく思います。
いやタイトル!そしてデザイン!
それにしても表紙のデザインとタイトルがすごいですよね。これ先日閉店した八重洲ブックセンターさんで平積みされていたのを買ったんですが、明らかに異彩を放っていて吸い寄せられるように手に取っていました。店員さんに渡すとき、「ああ、こいつ出世したいのかな」という視線を感じてしまいました。が、はい。否定しません。出世してぇ。
異彩を放つ著者
まず特筆すべきは本作は著者がスタンフォード大学で教鞭を執る組織行動論の学者であるという点です。有名な企業や世相の求める事業をしている会社の経営者ではないのです。なお、組織行動論という学問は社会学や心理学も取り入れている経営学の1つです。
作中でも触れられていますが、社会学を専攻する学生も受講するそうなのですが偏見にみちた視点で社会をよりよくしたい権力に批判的な学生からは著者はかなり嫌われていることがあるそうです。もうこれだけで個人的には信用したくなります。(どんだけ社会学のことが嫌いなんだとか言われそうですが。)
本作のメインテーマと全体的な特徴
本作のメインテーマは、出世する方法、権力の積み上げと維持の方法の解説です。
特徴としては、実際に出世した経営者の回顧録のようなn=1の話ではなく、統計や論文を交えて事例を紹介しつつ、具体的な方法に落としこんでくれている点で、再現性が高いことが期待できることが挙げられます。
読んでいるときの感情の動きとしては、社会人生活を送っている人なら自分の周りであったことを思い出しつつ、権力の階段を駆け上がるモチベーションが湧くことが多かったです。また、権力を持つことそのものやそこに至るまでのプロセスで足元をすくわれたり周囲から嫌われるのではないかという誰もが持つ懸念もフォローされています。
素晴らしいのは、直接かかれてはいなくとも読んでいると自分の中で出た疑問が解消されることが多かったことです。そう、本書を通読することはもはやコーチングを受けているも同然なのです!
7つの法則
本作の主要な内容は以下の7つの法則についての説明するものです。
- 自分の殻を抜け出せ
- ルールを破れ
- 権力を演出せよ
- 強力なパーソナルブランドを確立せよ
- ネットワークを作れ
- 権力を活用せよ
- 成功すれば(ほぼ)すべてが許される
いかがですか。目次にも書いてあるこのワードだけでもわくわくしてきませんか。あるいは倫理とかを大切にされる方は顔を顰めているかもしれませんね。ですが言い切ります。いま顔を顰めている人こそがこの本を読むべき人です。なぜか。
あなたは出世しにくいか、これから失脚するおそれがあるからです。
え?出世なんて興味ない?権力なんてなくてもかまわない?ふふふ…それは本作を読むといかに危ない考えなのかがわかりますよ。本作では、なぜ権力を手にする必要があるのかということがわかるエピソードもそこかしこにちりばめられているからです。
不動産業者として刺さったもの
個人的に特に刺さったのはパーソナルブランディングの大切さ、直接会って話をする重要さ、権力は使うほどに強くなり盤石になること、情報も権力もネットワークの中心に集まることということですね。
不動産業って案件や物件の情報が命なんですが、それをもたらしてくれるのは「人」なんですよね。情報を優先的に提供するに値すると営業先に思っていただける人物であり続けるにはどうしたらいいのかという観点は大変重要です。例えば、マスコミにもよく出る知名度とネット広告を活用していてぱっと見は個人のオーナーをターゲットにしたマーケティング戦略を重視しているように見える中古マンションの買取再販の会社があるのですが、実は不動産仲介会社に営業マンが足を運んでいて他社に情報が流れたりネットで公表される前に自社に情報提供されるよう仲介会社の営業マン一人ひとりとのリレーションを重視しています。
また、権力を持つ者がそれを維持する基本原則は期待される役割を演じてベストを尽くすことであり、責任もついて回る権力を持つことから逃げ回る人がいい人ぶって権力を批判してもそれは所詮は無責任なたわごとなのだということもよく解る一冊でした。善良に生きているはずの自分に何かが足りないように感じる人が読んでもいい刺激になると思います。
それでは、Enjoy 家選び!
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